リハビリテーション×アクセラレーター=イノベーション

リハビリテーションが必要な方に必要なだけ必要なときに提供出来る仕組みと、制度を作るための学習的な事を書いています。

格差

今日も、乱文となってしまいましたが、感じている事を書いていきます。

長くなりますがお付き合いください。

「格差」

なんの格差かというと色々です。

資本主義という枠組みの限界なのかなんだかわからないけど、確実に格差が

広がってきているなー、という事だけは、専門家でなくてもわかりますよね。

格差にも色々とあるようですが、今日は、介護事業所などの地域格差について考えてみます。

私は、2011年の東日本大震災後、岩手県陸前高田市という、岩手県沿岸にある、気候の良い素敵な街に

しばらく居ました。そこで何をしていたかというと、幸いにもリハビリテーションの知識を持っていたので

その知識を活かした支援を、被災した方々や地域の皆さんに、微力ながらしていました。

同地域では、在宅生活を支える為に必要な、在宅リハビリテーション分野の事業所や

それに関わるマンパワーが圧倒的に不足していたように感じます。もちろん頑張っている所もありましたが。

それは、被災した地域だからというわけではなく、元々そういう事業所が少なかったようである。

訪問リハビリステーションを立ち上げると、すぐに利用希望者で枠が埋まってしまった事を

覚えており、医師から直接利用者の訪問リハについての相談があった事にも驚きました。

リハビリテーション施設も数えるくらいしかない状態だったと思います。

かたや、首都圏ではどうか。

私の勤務する事業所(半日滞在型でリハビリテーションに特化した通所介護事業所)の中学校区

単位でも、同様な事業形態の事業所が5か所以上ある。言葉は悪いけど、利用者さんは選びたい放題なのです。

そこにはやはり、競争原理が働き、良いサービス(結果の出る)を提供している事業所は大人気です。

通所系の事業所だけでなく、もちろん訪問サービスも充実している。

訪問リハビリは、セラピストが不足しているが、いくつかの事業所から選べる状態であります。

そう、「選べる」のです。

「選べる」

これって大事なことだと思いませんか。

選べるという事は、在宅サービスを望んでいる方が、本当に必要なサービスを組み合わせられる。

それによって、亡くさなくてもいいかけがえのない命が救えていたかもしれない。

選べる資源が命に直結しないような業種ならそれほど問題ではないのです。

選べる資源は命に直結しているからこそ、真剣に議論していかなくてはならないのです。

この問題に対して、危機感を持っている療法士はどれくらいいるのでしょうか。

国は自分たちの決めた法律を、現状を鑑みてどのように考えているのでしょうか。

介護保険法に違反しているのではないかという認識はあるのでしょうか。

参考までに、介護保険法にも明記してある部分を抜粋します。

第一章 総則 第二条介護保険 第3項

第一項の保険給付は、被保険者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて被保険者の選択に基づき適切な保健医療サービス及び福祉サービスが多様な事業者又は施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない。

と明記されています。

さらに

(国及び地方公共団体の責務)

第五条  国は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう保健医療サービス及び福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策その他の必要な各般の措置を講じなければならない。

2  都道府県は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な助言及び適切な援助をしなければならない。

3  国及び地方公共団体は、被保険者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、保険給付に係る保健医療サービス及び福祉サービスに関する施策、要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止のための施策並びに地域における自立した日常生活の支援のための施策を、医療及び居住に関する施策との有機的な連携を図りつつ包括的に推進するよう努めなければならない。

この法律で国が求めているのは、あくまで「努力義務」レベルかもしれませんが、実際にそこで暮らす方々にとっては

死活問題です。政府の方針だか何だかわかりませんが、病院からは早く退院しろと言われ、退院前に中間施設で過ごして

も半年くらいしたら、在宅復帰率が低下するから自宅へと誘導され。自宅へ帰ったら支えてくれる資源が来ない。

憶測な部分も多少ありますが、地方や過疎化が進行している地域では、現状こういったことが日常茶飯事です。

介護保険法では上記のように制定されているにもかかわらず、都市部と過疎地域の格差は益々広がっているという矛盾。

都市部のお年寄りも毎月介護保険料を5000円とか払ってますが、過疎地のお年寄りも似たような金額を払っているんです。

それなのに、選べるサービス、選べないサービスがあるという現実。

あまりにも不公平ですよね。

不公平だから何とかしろ!と乱暴に述べるつもりはありませんが、無駄な支出をしているくらいなら

こういった問題にも予算をもっと付けるべきなんじゃないかと思うわけです。

さらに、人材が足りていない、人口が少ない、街に介護に携わろうとしている若者が少ないというならば

その原因を真剣に検討しなくてはいけないのだと思います。

そうなると、都市部の方が過ごしやすいという構図が出来ているから、東京に益々高齢者が集まってくるという・・・

そして、都心の介護従事者が少なく、事業所開設の足かせにもなっている。

ちょっと話が逸れますが・・・

政府はこういった課題に対して、CCRC(Continuing Care Retirement Community)という構想を描いているようです。

退職したアクティブシニアなどの地方移住を推進し、医療・介護が必要になっても継続したケアを受けながら安心して

暮らせる体制づくりを目指す。

CCRCは高齢者が移住し、健康時から終末期まで継続的なケアや生活サービスなどを受けながら生涯学習や社会活動

などに参加する共同体。という事だが、絵に描いたように上手くいくかどうか・・・課題だらけのような気もしております・・・

ソース元 http://www.care-news.jp/news/insurance/ccrc.html

結局、格差解消は根本的には難しいと思ってますが、最低限、地方や過疎化している地域でも、必要な人に必要なサービス

が提供できる仕組みつくりを、ハード面だけでなく、ソフト面でも考えなくてはいけないし、そこで働く人、働こうとする人

支える人に対して、環境整備をしていく事が政府主導で作る事が大事なのではないかと思います。

我々療法士や、地域で活躍する介護・福祉に携わる関連職種のみんなで声を上げていき、現状を知ってもらう事

をこれからも継続していきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

皆さんも、格差についてちょっとでいいので考えてみてください。